原作/C.Wニコル  演出/関矢幸雄  音楽/クニ河内



今から20年前。                                 
劇団あとむが旗揚げ作品として公演した『風を見た少年』が装いも新たにかえってきます!



初演日程決定!

東京都児童会館 第32回 夏休み児童・青少年演劇フェスティバル

04年8月1日(日) 開演 14:00 (開場 13:30)
        
会場  渋谷・東京都児童会館ホール


8月1日の初日まであと一ヶ月。
再演とは言っても全く新しく創る舞台です。
その上、念願の『風を見た少年』再びへの挑戦。15年をかけて熟成してきた想いが止めどもなく溢れ出します。
毎日の稽古は飽く事なき新しい『風を見た少年』のイメージの積み重ね。
そんな日々をニコルさんに頂いたメッセージがますます元気にしてくれます。
素敵なメッセージを皆様にご披露します。
8月1日初日、一番の大ファン(多分)のニコルさんに早く私たちの舞台、観せたい!(K.A)
   〜劇団あとむ「風を見た少年」再演によせて〜  

                                      C.W.ニコル  2004年3月22日黒姫にて

今から二十年以上も前、私は「風を見た少年」という小説を日本語で書いた。
大手の出版社数社に原稿を持ち込んだが、断られた。どう扱っていいものか、戸惑ったようだ。これは童話か、ファンタジーか、それとも冒険小説なのか、と。
そこへ、まだできて間もない小さな出版社が本を出そうと言ってくれた。やがて、私自身が描いた挿し絵入りで出版された小説はベストセラーとなった。

この本の成功は、『劇団あとむ』の存在を抜きには語れない。当時、日本全国を回って「風を見た少年」を上演してくれたことが何よりの追い風となったのだ。それにしても、この目で実際に見るまでは、あの小説を舞台化できるとは思ってもみなかった。
あれほどの広がりを持ち、現実と想像の境すら超えた物語を限られた空間の中でどう演じるというのか。
ところが、『劇団あとむ』はそれを見事に実現してくれた。観客を不思議な世界へと誘うすばらしい舞台は、世代を越えて多くの人に愛された。

時を経て、あの時の子どもたちは親となり、親御さんは孫を持つ身となられたことだろう。今再び、「風を見た少年」の舞台が甦ると聞いて、期待と興奮に胸が高鳴る。 今回も、とびきり楽しい舞台を見せてくれるに違いない。当日は、大いに笑いながら、心の奥で静かな哀しみを噛みしめることになるだろう。
最初にこの物語を認め、世に送り出してくれた恩人は、今はもういないのだ。
だが、きっと彼もどこかで観ているに違いない、と私は信じている。                               (訳:森 洋子)


                

1991年の初演の『風を見た少年』千秋楽の日に、ニコルさんがお寄せ下さったメッセージです。
新『風を見た少年』でまた皆さんにお目にかかる前に、
その素敵なメッセージを再びご披露したいと思います。(ニコルさんは今現在、海外です。)

劇団あとむの皆さんへ

風を見た少年を長い間上演して下さってありがとう。
あとむのみんなのパワーがあいつを物語の中から連れ出し
いつの間にか一回りも二回りも大きく育ててくれた、
そんな気がして あいつの生みの親の僕としてはとても感謝しています。

その風を見た少年の最後の舞台を見に行けないのはとても残念ですが
そのころ僕は僕にとって魂の故郷ともいえる北極で新たな境地を開くための旅を続けているはずです。

最後の幕が下りたらあいつはそのまま風に乗ってきっと僕の処へ帰ってくるでしょう。
もっと大きくなって またいつかみんなに会えるよう それまでの間 僕と一緒に旅をするために。
そしてあとむの皆さんの新たなる旅立ちに 今度は2人でエールを送ります。

1991.7.13 C.Wニコル
「あいつ」がまたニコルさんと一緒に帰ってきます。
ニコルさんと「あいつ」と、また一回りも二回りも大きくなったあとむが一緒に旅をします。
ニコルさんからの新しいメッセージをお届けする日をお楽しみに!



おもしろいドラマやハラハラさせるドラマはたくさんあります。
でも自分の心の中を静かにのぞいて見るドラマには、なかなか出会えません。
 こんなせわしない時代にこそ、そんな作品が欲しい。
演出家関矢幸雄氏を創造リーダーに迎え、「劇団あとむ」をスタートさせた時、私たちが考えた事はまずそれでした。
C・Wニコル氏の書いた『風を見た少年』を読んだ時、ものすごいスケールの大きさに驚くと同時に爽快感につつまれました。
 こよなく日本を愛する冒険家、C・Wニコル氏が自分の日本語力を八歳の子どもにたとえ、
日本語で書いたこの『風を見た少年』は、私たちが、子どもがいや応なしにおかれている
競争優先の社会の中で、日頃、忘れている心≠ニか魂=Aそして
そうだ、人間は脱皮をしながら成長しつづけることができるんだ≠ニいうことを思い出させてくれる作品でした。
 自分の心の命ずるままに生きている男(人間)たちを見るのは限りなくさわやかです。
「今や敵とも共に生き合う時代」を説く関矢幸雄氏、「人間と自然が共に生き合う」ことを唱えるC・Wニコル氏、
この二人はさわやかさだけでなく限りなく心優しい男たちです。
心優しい男たちが創りあげた、心優しい少年のドラマ『風を見た少年』は
全国の子どもたちの所へ飛んでいける日を待っています。(H・A and K・A)




                
渋谷・東京都児童会館 の初日に向けて
稽古の日々、制作は順調に進んでいます。

C・Wニコルさんは大喜び、楽しみにして下さっています。
 
デッサンの今の時期は、関矢演出のもと、1人1人の可能性がひきだされます。
夏 8月1日(日)の初日、ニコルさんからは、既に「日程をkeepした」との報を
いただきました。1985年初演『風を見た少年』から20年、ニコルさんの活動は
大きく実り、あとむも成長しました。
再会を楽しみに、脱皮を繰り返す熱気あふれる稽古場です。(K・A)



   







    
稽古風景。関矢先生と。
模型かこんで思案中。


「単純なやりかたで深い表現を」とは演出の関矢先生の考えだされる表現様式の根幹をなすものですが、あらゆる表現に通じると思います。 芝居で表現できないものはないと思ってはいるものの、目に見えない「こころ」や「魂」や「風」なんてもの(?)をどう表に現すか大きな課題です。さあどうする。一同シーンとしてしまいます。頭の中は乾いたぞうきんのよう。見ている人たちがワハハと笑って心がゆったりしてくるような面白いやりかた、きっとあるはず。先生は言います「演劇の目的は人の心を動かして、人を元気にすることだ」と。見ている人たち(百人百様のいろんな気分をもっている)を元気にするには、俳優がそれ以上元気溌剌でなければならない。元気はおおもとの気ですからこれが萎えるといろんな点で具合がわるくなります。
ではその元気(生命力)を生み出す力は何だ?これこそ関矢先生が提唱され実践されている『遊び』のなかにあります。『遊び』には本当に人が気づかなければならない大切なことがいっぱい入っています。
本気で遊ぶと無心になる。心に壁がないからなんでも感じられまる。遊びから発見した深い表現は人の心に沁みいり、心の襞にくっつき、大切な事を気づかせてくれる力があるはずです。
演劇はプレイ・遊びもプレイ〈関矢先生の言葉〉うーむ…遊んで自由になったところで、さて、見えない「風」をどう感じて表現するか。しかし遊ぼうと言われてもすぐには遊べないんだな私は…。遊ぶにも力が要る。私の遊び心はまだまだ浅い!(楠定憲)