1997年9月25日(木) 北日本新聞より

劇団あとむが公演

劇団あとむの公演『あとむの時間はアンデルセン』が十月三十日午後六時四十分から、
県教育会館で開かれます 八人の俳優さん達が無伴奏コーラスで物語を歌い進めていく
というユニークなお芝居。哲学的で示唆に富んだアンデルセンの童話は、私たちに生きる
指針を伝えているようです。劇団あとむは1984年、演出家の関矢幸雄さんを創造
リーダーに発足。舞台劇、人形劇の枠にとらわれず、自由な発想で新しい感覚のステージ
活動を続けています。

4つの童話で

『あとむの時間はアンデルセン』は、アンデルセンの「マッチうりの少女」「パンをふんだ娘」
など、4編の童話で構成。棒とボールと輪を使って風景や動物の絵を描くアニメイム、
等身大の板人形を使うペープサート、ものを使わず人間の身体だけで表現する素劇という
3通りの方法で話をすすめていきます。出演者の八人は伴奏のないコーラスと、手話を
使い、普通のお芝居のようなせりふはほとんどありません。
この公演を見た人からは「BGMの音楽が全くないのに、人の声だけのハーモニーが
素晴らしく引き込まれた」「最後まで流れるようなリズムがあって面白かった」という感想が
たくさん寄せられているそうです。厚生省中央児童審議会の平成七年度推薦文化財にも
指定されました。

人間の表情楽しむ

アンデルセンの童話は「人生で三度読め」と言われています。子どもには楽しく、大人には
味わい深く、年をとってからは人生の素晴らしさをしみじみと感じさせてくれます。国境を
越え、世代を超え、その素晴らしさは語り継がれています。
公演を企画した富山子どもの文化を育てる会の山道康子さんは「全編にわたって手話が
取り入れられているので、聴覚障害の人も十分楽しめます。この舞台で生の人間の
生き生きとした動きや表情を味わって下さい」と話しています。