今年(2004年)は暑い夏になりました。
あとむも暑い熱い夏を送り、全エネルギーをかたむけた、新『風を見た少年』初日をあけました。
旗揚げとして掲げたこの作品を今こそより新しい息吹で、より深く、伝えるべきとの願いのもとに。
「夏の児童青少年演劇フェスティバル」参加。たった一日だけの初日バージョン
皆様へその日のご報告です。
これから2005年度の上演に向かって素敵な時間がはじまります。
稽古を重ね、より高い表現を練り上げていきます。
まずは8月1日の東京都児童会館にての舞台をあらすじとともにご紹介致します。

プロローグより

「この本に出てくるあいつ≠ニは、
いったいだれなのでしょうか。
たぶんぼくは、一生わからないままで過ごすでしょう。
あいつ≠ェいう脱皮というプロセスを経るまで…」

あいつは空が飛べる。

あいつは心の優しい子。
だから鳥や虫たちとも友達だ。
カラスやトンボとおしゃべりしているうちに
あいつには風が見え、空が飛べるようになった。
それだけじゃない。
あいつがこわい目で見つめると
物を壊してしまうこともできるんだ。

  


「いい本書いてね。そうじゃないと木がかわいそう」
「えっ?木がかわいそう?」
          
「トンボさんには風が見えるの?」
「もちろんさ!見えなかったらどうやって飛ぶんだい?」
「あっ、風が見えた!」


  あいつの不思議な力。
 あいつはこわい目で見て、
 いたちの家の天井の石を壊してしまった。

 
          「ごめんごめん、         
           代わりの石をさがしてくるから」
           「当たり前だよ、ちぇっ!」
 



この国のえらい人たちは不思議な力を持ったあいつを戦争に利用しようとした。
あいつは飛んだ。遠くへ。
あいつは風に乗って逃げ心臓の島≠ニ呼ばれる奥地にやってくる。
そこは人間をいみきらう熊の国だった。











「私はブラニック大統領!
私の世界支配計画に反対する者は
誰でも許さん!」




「この子を仲間に入れてやろう」

あいつ≠ヘ仲間として認められ熊たちといっしょに暮らした。なぜ、熊たちは人間を嫌うのか?
   
タイムスリップの力をつけたあいつは¢蜷フの世界に行き、自分たちこそが世界一優れた民族だと主張する黄金龍の黄金龍の民≠ェ他の人々を滅ぼし、やがて自分たちも滅んでしまうという人間どうしの争いがあったことを知る。
   
「この絵は黄金龍の民が描いたの?」

「とんでもない、何万年も古い人達が描いた物さ。どんな文明でも滅びる、どんな偉い人でもそのうちに消える。人間の作った物はみな土にかえるということを覚えておくんだね」